公正証書で契約を守る
表Aに個人の生活に関連する契約の中で、公正証書を活用できる主な例を挙げてみました。
金銭貸借契約、離婚給付契約、和解契約など主に2者間の契約だけでなく、遺言や尊厳死宣言など個人の権利や義務に関する広範な範囲について活用できます。契約で公正証書を作成するにはまず当事者間の合意が必要で、任意後見契約など法律によって公正証書でないと契約の効力が認められないものもあります。
言 |
遺言者自身が公証人に遺言内容を口述する。証人2人の立ち合いが必要。公証役場に行けない時は、公証人に自宅や病院などへ出張を依頼することもできる | 財産の金額が1億円以下の場合、通常の手数料に1万1000円が加算される (表B参照) |
銭 貸 借 |
公証役場に当事者本人が行って公正証書を作成する。強制執行できる条項を付けておけば、裁判をすることなく債務者の財産を差し押さえることができる | 借入金額(利息は含まない)に応じて、作成手数料が決まる。 (表B参照) |
| 付離 婚 給 |
離婚した後の慰謝料や養育費の支払いについて合意した内容を公正証書にする | 慰謝料、財産分与、養育費の金額に応じて、作成手数料が決まる (表B参照) |
解 |
人にけがをさせられた時などに、治療費、慰謝料などの和解内容を公正証書にできる。請求権の放棄の条項を入れておけばトラブルを避けることができる | 和解の金額に応じて、作成手数料が決まる (表B参照) |
意 後 見 |
本人が十分な判断能力があるうちに、自分が選んだ任意後見人に生活や財産管理や介護サービスを利用する際の契約などの事務についての代理権を与える契約。公正証書を作成することが義務付けられている | 基本手数料1万1000円 登記嘱託手数料1400円 登記印紙代4000円 など |
| 委生 任前 事 務 |
入院する時の保証や身元引受、安否確認、財産管理などを委任する契約 | 契約の金額が明確でないため、「任意後見契約」と同様、基本手数料1万1000円になるのが一般的 |
| 宣尊 言厳 死 |
無意味な延命治療はやめて欲しいという意思を示す。家族の同意を得ていることや、医師を犯罪捜査や訴追の対象にしないで欲しいというお願いなどを入れるのが一般的 | 公証人が内容を聞き取り、証書を作成するのに要した時間によって決まる 1時間ごとに1万1000円 |
(注)いずれも証書の枚数に応じて1枚ごとに250円の証書代、正本・謄本の送達代などがかかる
| 100万円以下 | |
| 200万円以下 | 7000円 |
| 500万円以下 | 1万1000円 |
| 1000万円以下 | 1万7000円 |
| 3000万円以下 | 2万3000円 |
| 5000万円以下 | 2万9000円 |
| 1億円以下 | 4万3000円 |
| 1億円超 3億円以下 |
4万3000円+ 5000万円ごとに1万3000円を加算 |
| 3億円超 10億円以下 |
9万5000円+ 5000万円ごとに1万1000円を加算 |
| 10億円超 | 24万9000円+ 5000万円ごとに8000円を加算 |
強い証明力を持つ公文書
▼公正証書
公的資格である公証人が法律に従って作成する書類のことで、強い証拠力・証明力を持つのが特徴。
いわゆる「口約束」でも法的には契約になりますが、約束の内容を公証人が厳格な手続きにのっとって証書にすることによって、当事者同士で交わしたはるかに高い信頼性を持たせます。公正証書の中に『執行認諾約款』という条項を加えておけば、裁判をすることなく、債務者の財産に強制執行を行えます。
遺言、公証役場が保存
公正証書の中でも最も一般的なのが『公正証書遺言』です。
公正証書遺言の作成件数は08年に7万6000件を超え、90年に比べてほぼ倍増しました。
公正証書遺言と自筆証書遺言の特徴を比べたのが表C。
| 費用 | かからない | 公正証書作成手数料と証人依頼料など。通常10万~15万円 |
| 証人 | 不要 | 2人必要 |
| 作成 | 自筆で作成。パソコンや代筆は禁止 | 公証人によって作成 |
| 利点 | 費用がかからずいつでもどこでも書けて、容易に書き直すことができる | 家庭裁判所での検認が必要なく、無効の恐れもない。原本は公証役場で生涯保管され、紛失しても再発行してもらえる |
| 不利な点 | 形式が不備だと無効になる恐れがある。紛失や変造、隠匿の可能性がある | 打ち合わせなどに時間がかかる。費用がかかる |
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